中野 洋平(なかの ようへい)

中野 洋平(なかの ようへい)

 nakano

職  名

 准教授

研 究 分 野

 民俗学
(研究内容を詳しく知りたい方はこちらへ(外部サイト)

〇教員メッセージ

    明治39年(1906)に夏目漱石が著した小説『草枕』の冒頭に、次のような一節があります。「人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。」 この一文は、民俗学的な世界の見方を端的に表していると思います。世界というイメージは壮大なものですが、自分にとってのリアルな世界って、案外、身近で日常的なんですね。 

 私の勉強している民俗学は人々(民)の日常(俗)を考えたり、反対に、日常を通して人々を考えたりする学問です。日常とは人々にとっての「当たり前なモノやコト」であり、私たちの生活の大部分は、そのような「当たり前」で構成されています。

 地域文化学科では、学生たちと一緒に民俗学の視座から地域を考える取り組みをしています。ただしその地域は、県や市といったあらかじめ決められた地域ではなく、「ただの人」の日常的な振る舞いから成り立っている、いろいろな地域です。人々の振る舞いを「文化」といいます。その文化で成り立つ地域とはどのようなものでしょうか。一緒に考えてみませんか。

〇主な担当授業

・民俗学概論(1年次春学期)

 民俗学の基礎的な視座と方法を学びます。この学問は19世紀のヨーロッパで誕生し、日本でも独自に発展していきました。2000年代以降は、ドイツやアメリカといった欧米だけでなく、韓国や中国の民俗学との交流も盛んです。授業では日本民俗学の成果を中心に学びつつ、近年注目されている公共民俗学や民俗文化の資源化といったテーマについても考えます。

・山陰地域の民俗文化(2年次秋学期)

  出雲神楽1年次の「民俗学概論」で養った民俗学の基礎知識をもとに、山陰地域の民俗文化について学びます。 左の写真は松江市島根町にある神社で年に一度行われている神楽の様子です。島根県では日常的に神楽が行われているのですが、それは何故でしょうか。これら山陰地域における日常的な文化=民俗文化について、皆さんと一緒に考えたいと思います。また、教室の座学だけでなく、地域に出掛けて実際に見て、聞いて、歩いて学びます。  

〇民俗学ゼミ(研究室)の活動

 地域文化学科では3年次からゼミ(研究室)に所属して「地域文化プロジェクト」に取り組みます。個々人の興味関心に従って卒業研究を進めていく一方で、ゼミ共通の活動もあります。その一つが島根県海士町での調査合宿です。海士町は日本海の隠岐諸島にあり、春と夏の長期休暇を利用して出かけます。海士町では一軒家をお借りして、炊事洗濯などすべて自分たちで行います。まさに共同生活です。近年は海士町崎地区に保管されている民具(生活用具)の整理・調査を主な活動としています。調査の成果は地元の皆さんに向けて報告しています。

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民具の整理と調査                         民具についての聞き書き