お知らせ(松江キャンパス) Matsue News
大人も子どもも、障がいのある人も無い人も 造形ワークショップ「世界に一つだけの石生物づくり」
大人も子どもも、障がいのある人も無い人も 造形ワークショップ「世界に一つだけの石生物づくり」
2022/11/19
2022年11月に島根県民会館で行われた「にぎやかな日々in松江」にて、本学福井一尊ゼミの学生たちが、大人も子どもも、障がいのある人も無い人も一緒に楽しめる、造形ワークショップを開催。その内容についてご紹介いたします。
障がいのあるなしに関わらず、あらゆる人が文化芸術を楽しみ、参加できることを目的としたイベント「にぎやかな日々in松江」が、昨年11月に島根県民会館で開催されました。ホール内ではブラスバンドによるコンサートや石見神楽が上演されたほか、ロビーでは福祉団体等によるミニマルシェや、養護学校の生徒さんたちの作品などが展示され、多くの来場者で賑わいました。
今回は、「令和4年度障害者等による文化芸術活動推進事業」の一環として、県民会館、福祉団体、学生が連携して実施。本学松江キャンパスの保育教育学科からは福井一尊准教授のゼミの学生たちが、ロビーイベントの一つとしてワークショップを出店しました。
· 子どもの想像力を刺激する石ころアート
このワークショップは、「大人も子どもも、障がいのある人も無い人も、どんな人でも参加できること」を目標として、小石などの自然物を使って世界に一つだけの“石生物”を作り出すというアート体験です。この石生物アートを思いついたのは、ゼミ生である田中千智さん。幼稚園の実習先に作って持って行ったところ子どもたちの反応が良かったため、今回のワークショップを思い立ったといいます。「普段園庭などで見たり触っているもので好きなものをつくり出すのが、子どもたちには楽しいみたいです」と話す田中さん。その言葉どおり、会場に訪れた子どもたちは学生たちが用意した見本の“石生物”を見て興味津々。ワークショップが始まると、作業場の机はあっという間に親子連れでいっぱいになりました。
この日のためにゼミのみんなで集めたという小石や葉っぱ、どんぐりや貝殻といったたくさんの自然素材が並べられ、子どもたちはその中から思い思いに材料を選びます。そして学生たちのサポートのもと、絵の具やグルーガンを使って表現された独創的な“石生物”たちが次々と誕生していきました。できあがった作品は机の上に展示され、通路を行き交う人たちに褒められたり感想をもらったり。それも子どもたちにはうれしい体験のようで、参加した7歳の女の子は「思ったより上手に作れて楽しかった」と笑顔で話してくれました。
· 作品から学んだ“とらわれない発想”
ワークショップを通して、子どもたちの作品に逆に教えられたと話すのは福田彩華さん。「私が見本を作る時、“何を作ったのか分かるものを作らなきゃ”と思って作っていましたが、子どもたちの作品にはそういう先入観や固定概念がありません。とらわれない発想を学びました」と話す。津川侑大さんも、「この素材をそんな風に使うんだ!と、想像を超えた使い方に感心しました」と、初めてのワークショップに手応えを感じたようです。
「誰も来なかったらどうしよう」と不安を感じていたという3人の心配をよそに、ワークショップは大盛況のまま終了。「今後も子どもたちの想像力を広げて表現できる場を作りたい。そして普段は関わりのない人たちの集まりの中で、新しい刺激や発見をしてもらいたい」と、今回の成功体験をもとに、次のワークショップへの思いも高まります。
· プロフィール
人間文化学部 保育教育学科福井一尊(ふくいかずたか)准教授
研究分野/美術教育学
子どもの遊びや造形表現、美術教育について研究しています。美しさに正直である心の大切さについて考えます。
福井一尊研究室内に事務局を置く「どこでもミュージアム研究所」が、島根県県民いきいき活動奨励賞を受賞しました。
田中千智さん(3年生)
既存のものにとらわれずに作ってるところがいいですよね。1人1人全部違う。子どもたちが創造できる環境作りって大事だと感じたので、今後さらに、たくさんの子たちが楽しめるようなワークショップを考えていきたいです。
津川侑大さん(3年生)
限られた素材をまんべんなく使って、自分のイメージを表現することを、想像していた以上に楽しんでくれたのが印象的でした。今後もこういった子どもたちの想像力を広げるような活動をゼミでやっていきたいです。
福田彩華さん(3年生)
子どもたちと一緒に作品づくりをするのはとても貴重な体験でした。世の中にあるものをつくり出すのではなく、彼らの心の中にあるものを自由に表現していて、その世界観を聞くのがとても楽しかったです。